まずはじめに、先日(10/27)投稿したSurvivalと振り返る2010年(仮)及びホビステ杯のレポート(10/25)を、レガシーの情報サイト「browbeat」さんに掲載していただきました。非常に光栄なことで、嬉しい限りです。

DNのレガシー情報まとめサイト「browbeat」
(各種大会レポ、デッキ考察、記事など、DNでの更新をまとめられているサイトです)
http://browbeat.heroku.com/


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今回の考察に当たり非常に重要視したのは、「序盤のテンポ」及び「サイドボード後のプランニング」です。その辺を考慮しつつ見ていただければ幸いです。


とりあえず、先日ホビステ杯で使用したSurvival Junkをちょいちょいといじったものを。

Creatures
4《極楽鳥/Bird of Paradise》
4《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
3《潮の虚ろの漕ぎ手/Tidehollow Sculler》
2《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
4《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》
1《叫び大口/Shriekmaw》
1《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》

1《大物狙い/Big Game Hunter》
1《忠臣/Loyal Retainers》
1《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》

4《思考囲い/Thoughtseize》
4《剣を鍬に/Sword to Plowshares》
3《適者生存/Survival of the Fittest》
3《森の知恵/Sylvan Library》
1《光と影の剣/Sword of Light and Shadow》
1《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》

4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
3《Bayou》
3《Savannah》
1《沼/Swamp》
1《平地/Plains》
1《森/Forest》
1《地平線の梢/Horizon Canopy》
4《不毛の大地/Wasteland》

Sideboards
1《適者生存/Survival of the Fittest》
2《根絶/Extirpate》
1《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
1《フェアリーの忌み者/Fearie Macable》
2《悪魔の布告/Diabolic Edict》
1《肉袋の匪賊/Fleshbag Marauder》
1《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2《ガドック・ティーグ/Gadokk Teeg》
2《クローサの掌握/Krosan Grip》
2《真髄の針/Pitting Needle》


(前回の考察の内容を引き継いでしまいますが、)状況に応じて各種パーツをサーチするTool Boxタイプの適者生存デッキの場合、コンボとして適者を使うわけではないので、つねにデッキ構築を行う上で気にかけないといけない点として、

適者生存が場になくても十分に戦えるデッキであり得るのか?

が特に重要になります。
これはSurvival Junkに限った話ではなく、Tool Boxタイプの先人であるBant SurvivalもSurvival Zooもそれぞれバントアグロ、Zooとしての側面を保ちつつ適者デッキとしての機能を持たせているので理解しやすいかと思います。


このデッキは見て分かる通り、適者生存デッキであるのにも拘らず、メインの適者の枚数は3枚です。その代り、森の知恵が通常よりも若干多く3枚とられています。何故か?


MTGの根本的な話になるのですが、4枚の同一カードをデッキに入れるということは、
1.初手に来てくれたら嬉しいな!!(ハンデスなりマナクリなり、Willなり)
2.2枚目引いても嬉しいよ!!(火力なり、優秀なクリーチャーなり)
3.2枚は引きたくないけど1枚キャストすれば勝ちだから4枚入れるよ!!(リアニとか、ショーテルみたいな即死系のコンボパーツ)


のいずれかを期待して入れるもんだと思います。思っています。
では、Tool Boxタイプにおける適者生存はどうでしょうか。

1.初手に来てほしいか?(後述1)→個人的にはNo
2.2枚引きたいか?→置物対策が見られるサイド後ならともかくメインはNo
3.即死パーツ足りえるか?(後述2)→蔦サバイバルのように出せば勝ちなわけではないのでNo



キモになるのが1の初手に絡む問題。(後述1に関して)
例えばの話ですが、上のデッキの場合初手に適者を含む場合(メイン戦において)

ex1)(1T)極楽鳥→(2T)思考囲い+適者生存
→間違いなく100点の動き

ex2)(1T)思考囲い→(2T)適者生存
→一見強く見える動きだけど個人的には60点いくかどうか

ex3)(1T)極楽鳥→(2T)適者生存(1マナ浮かし)
→適者の流行で呪文嵌めが散見しだしてきた昨今では取りづらい行動(てか、自分だったらやらない、タルモなりで様子見)

ex4)(1T)初動無し→(2T)適者生存
→他に取れる動きがないハンドなら素直にマリガンしよう

パッと見では強く見えそうなex2ですが、個人的にはいまいちだと思っています。

というのも、次の3ターン目の動きを考えてみると、
適者起動(何かクリーチャー)→スクィー→適者起動(スクィー)→残り1マナ→エンドor鳥or囲いorStP

非常にテンポが悪い。もし仮に場に1枚でもデュアランがあった場合、その土地を割られた場合、こちら側のテンポロスは相当なものになります。

つまり何が言いたいかというと、
最序盤における適者生存は、強烈なテンポロスにより己の首を絞めかねない
ということです。

Tool Boxタイプにおける適者生存は土地が並びだしてからが本領発揮だと個人的には考えています。
そう考えると、

デュエル中に1枚は引きたいけど、初手には来てほしくない。来たら来たで仕方ないけど、その確率はできれば下げておきたい。

それはデッキの中に3枚入れることがベストな枚数なのではないかと思い、今はメインが3枚になっています。



ではなぜ、サイドに4枚目の適者生存が潜んでいるのか。(後述2に関して)
これは単純に、イオナを降臨させるだけで上の初手に絡む問題を一切考えずに清むデッキが存在するためです。(各種単色、除去が1色のみに固まったデッキ)

実際そう考えると、実はメインにイオナセットはいる必要はなくサイドのガドックをメイン投入し、イオナセットは4枚目の適者とともにサイドインするのがベストな案なのかもしれませんが、大会で実戦投入したことがないのでまだ未知数です。(ローグ系デッキに当たった時にイオナ1枚でメインマッチが解決できる可能性も捨てきれないので難しいところ。)

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一方で森の知恵も何枚積むのが正しいのかという問題を考えてみたいと思います。

適者の時と同様に考えると、
1.初手に来てほしいか?(後述3)→Yes
2.2枚引きたいか?→初手に2枚こない限りはライブラリーの下に送り込めるので気にする必要なし。
3.即死パーツ足りえるか?→No



(後述3に関して)
適者の時と同様の初手パターンを考えた場合、一番異なるのがマナ加速なしで2ターン目に森の知恵を置いた場合です。
ライブラリートップを操作することにマナのかからない森の知恵を前のターンに置くことで、3ターン目に3マナをすべて展開に使うことができます。一見地味に見える効果ですが、フェッチ、聖遺の騎士、石鍛冶などライブラリーシャッフル手段に事欠かないこのデッキにおいては非常に強力な効果です。

ライブラリー操作だけであれば独楽、ミリーの悪知恵でいいじゃないかという意見もあると思います。
しかしながら、独楽はその1マナが非常に重く、各種装備品によるライフサポートや巨大なサイズの聖遺へのStPにより4点のライフ損失にさしたる痛みもないこのデッキにおいては森の知恵の能力は非常にかみ合っているといえます。


最初は適者4枚、森の知恵2枚でデッキを回していましたが、序盤に手札に来た時にどちらが嬉しいか、テンポを失わず場を構築できるかと考えた場合に適者3森の知恵3としたほうが都合がいいことに気付きました。(森の知恵さえ場に出てしまえば、通常のドローよりモリモリ適者を探しに行けますし。)


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さて、長くなりましたが本題。これら適者生存と森の知恵を一つのデッキに同時投入することで生まれるメリットとデメリットに関して。

メリット
1.森の知恵によって適者生存を探しに行ける。独楽と違いマナをすべて適者に回すことができる。
2.呪文嵌めの的を散らすことで、本命の適者を通しやすくなる
(3.適者生存によって毎ターン新鮮なトップが森の知恵で確認できる)
4.サイドボード後、適者生存を全抜きしたデッキ構成にしやすく、相手の針を腐らせることができる。
デメリット
・爆薬X=2の存在


大体分かりきっていることですが、メリット3とデメリットに関して。
森の知恵と適者を見たとき、「これ、爆薬2でシャクられて終わりじゃね?」って誰もが思うと思います。ですが、それぞれがかなりのカードパワーを持っているので、実際問題別にどちらも一気に並べる必要はなく、もし2つとも場に展開できたのであればオーバーキルすぎる話ですし、そんなターンが1~2ターンもあればアドは十分稼げたでしょう。(念のためにガドックは入れてありますが。)


で、本命はメリット4
Game1で適者を見せた場合、相手は当然サイドボードから対策を練ってきます。
普通にいけば置物破壊でグリップ辺りが妥当なところですが、CTGが減少した代わりに魚が爆発的に増加した最近のメタを考えると、薬瓶のために投入していた《真髄の針》が投入されてくると考えられます。(さらに言えば墓地対もあり得るかな)(CTGがなければグリップである必要はない。)

Game2、相手はドヤって感じで適者に針を刺そうとするでしょう。ここで、生きてくるのがメイン適者3、森の知恵3という構成。サイドボードを、

In
2《悪魔の布告/Diabolic Edict》
1《肉袋の匪賊/Fleshbag Marauder》
1《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2《ガドック・ティーグ/Gadokk Teeg》

Out
1《忠臣/Loyal Retainers》
1《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》
3《適者生存/Survival of the Fittest》

入れ替えることで、PT JUNKにサイドチェンジすることができます。

ここでメインから3枚と多めにとった森の知恵が相手の針を抜けつつハンドの質を上げられるため、序盤のテンポが命の部族戦なんかでは非常に有用であると考えられます。
(除去9本+十手へのアクセス3本+タルモ+聖遺+マナクリまであれば十分優位がつくでしょう。)
さらには、聖遺の騎士やタルモが若干墓地依存がありますが基本的に墓地に対する依存度がぐっと下がりますので、相手のサイドボードプランによっては2~6枚程度のサイドボードカードを一気に腐らせることも可能と考えられます。


実際問題、適者をサイドから抜くというのはかなり勇気のいる選択肢だとは思いますが、相手としては「いやでもサイドから対策せざる負えないカード」であることに変わりはありませんし、そのカードを抜いてもデッキが別コンセプト(PT JUNK)を持ったまま動くのであれば、新たな試みも行ってみる必要があるのではないでしょうか。その手助けをするカードとして、今回森の知恵に焦点を当てました。こいつは間違いなく強いカードなので、Zoo以外でもいろんな所で見られるようになって、研究が進めばいいなぁと思っています。

コメント

なへ゛
2010年10月30日22:52

きょうじゅさんが書くと説得力ありますね^

きょうじゅ
2010年10月30日23:26

森知恵2→3と、サイド後の適者抜き案、なべさんに言われたことそのまま文章にしただけですけどねw

kenon
2010年10月31日0:38

「普通にいけば置物破壊でグリップ辺りが妥当なところですが、CTGが減少した代わりに魚が爆発的に増加した最近のメタを考えると、薬瓶のために投入していた《真髄の針》が投入されてくると考えられます。」

と記載ありますが、置物というかサバイバル対策には自分はどっちかっていうと墓地対策(大祖始の遺産)を有効牌と考え優先的に採用しています。
理由として、
1. スクィーを追放してしまえばサバイバルはアドを稼げなくなる点。
(↑に関して、こっちが遺産プレイするとスクィー以外の生物disからのクァーサルサーチという、プレイングでカバーされるでしょうが、この動きでテンポを大きく失わせれるので有効かと)
2. セーイやタルモのパワーを下げれる点です。
3. 忠臣+イオナコンボも封じれる点。
です。


やっぱり、みなさんは針やグリップで対策するもんなんでしょうか?

なへ゛
2010年10月31日0:40

ただ、森知恵増量でサバイバル減らすと、サバイバル専用カードが腐るから根本的にToolBoxの部分を考え直す必要が出てくると思うんだ。

大昔のNWOみたいに素で引いて使えるものをシルバーバレットするだけにした方がいい可能性もあるかもしれないと思っている。

4sur
2010年11月1日1:21

この今回の考察は、BGWに限った話という前提として気になった点を幾つか。

序盤のテンポを得る前提なら、まず1マナ域が12枚で2マナ域が17枚という部分が逆転してるようで引っかかるんですが、マナカーブはどう考えられてます?

それと、テンポロスとありますが、適者以外にピッチスペルを用意するか、適者を置いたことでそれ以上のマナ効率を得られるならテンポロスにならないと考えています。
前者ならWill・Daze・殺し等、後者は忠臣イオナや蔦マッドネスですね。
後者においては、適者はむしろデッキの加速手段となるので、適者単体で論じるのは少し違うかな、と。

森の知恵の枚数を増やすことで適者以外の勝ち筋を増やす点は自分も賛成なんですが、初手に適者がなかった場合、序盤に引いたイオナ・スクイー・忠臣等の処理手段がないのでハンドのディス・アドバンテージを抱えることになりますが、その辺りはどうですか?

あと、針は見た感じそこまで増えていなくて、むしろ自然の要求の方が恐いです。
対部族では針を撃たれることの方が多いでしょうけど、向こうは基本T1に薬瓶等を優先するので、自分が装備品をプレイした返しに針を刺されるケースも同じく多いかと。

きょうじゅ
2010年11月1日2:28

>>kenonnさん

自分の経験則ですが、今年に入ってから
グラコロ2,3,4,6,7月
GP仙台1,2日目
ホビステ杯3回目
の計8回、約40戦ほど適者生存を回してきましたが、Game2以降の相手の対策はグリップ>針>>>>>>>>>>>>各種墓地対、こんな感じです。というか、覚えてる限りで遺産は出されたことあったっけかな…(トーモッドはあった気がしましたが。)
この辺も仙台が適者慣れしていないあたりかなぁと思います。確かにToolboxタイプはスクィーをつぶせば終わりなので。

きょうじゅ
2010年11月1日2:31

>>なべさん
確かに。イオナセットあたりが最たる例で、会場の分布次第では素直にクァーサルの追加やPtE辺りの除去、Duress辺りに差し替えたほうが無難な気もします。メインガドックも面白いと思うんですけどねー。(リアニショーテル系に無力なのがいかんともしがたいですが。)

きょうじゅ
2010年11月1日2:48

>>4surさん
おっしゃる通り、BGW系に限った話です。Zooに置物6枚は無理があるでしょうし、バントならWillの餌も兼ねて、ブレストポンダーの方に軍配が上がると思います。

>>マナカーブ
非適者の時の動きがPT JUNKなので(森の知恵云々に限らず)、こればかりはデッキ構造的に2マナが膨れ上がるのは致し方ないかと思います。
漕ぎ手辺りを強迫に変えればマナカーブは整うと思うのですが、クリーチャーカウントをここから3枚落とすと、適者の運用に弊害が出るとのことを以前教わったため漕ぎ手は最低2、できれば3は必要だと思います。
独楽は1マナですが、回すマナを考慮するとあれは1マナのマナカーブに入れるべきものではないと思うので考慮していません。

>>ピッチスペル
WillDazeは確かにおっしゃる通りです。BGW系の場合はあまり使い勝手のいいピッチスペルがない感じですかね。(殺し、アンマスク位?殺しを入れるくらいならPtEでいいと思うし、黒カウントがあまりないのでアンマスクは難しいか。)

>>初手イオナ
↑のなべさんにも指摘されたことで、本文中にもちょろっと書きましたが、適者3森知恵3のパターンならばメインイオナセットとサイドガドック2枚をそっくり入れ替えてもいいかなと思います。前回のホビステ杯後、カードをいじくっていないので今週末の大会で余裕があれば試してみます。

>>針とか~
置物破壊に関してですが、仙台の超辺境メタでトップにMUDが居続けているという実情がありまして、チャリスにもろ引っかかる要求は今のところあまり増えなそうです。体感ですが、相変わらず青が多いメタなのでカウンター警戒でグリップが多いです。この前、タルモがおっきくなるのも兼ねて緑置き印章サイドに入れていったら、みんなにプギャーって笑われました。グリップみんな大好きです。
情報の後出しになってしまいすみません。

後は、何でかよく分からないんですけど、仙台のみんなやたらと針好きなんです。もうほんとまた針かよーみたいな感じでプスプス刺してきます。(ちょっと前まで、クロックパーミかそれを食える魚、マスカンまみれの2マナランド系しか人権のないような環境でして、新ジェイスを対処するためにやたらと針が増えた影響だと思いますが。)
そういう意味では、仙台の適者対策はグリップと針!!って感じの雰囲気になっています。僕個人的には相手の針一枚で止められるのがめんどいんで、針の逆対策カードが欲しいところなんですが正直思いつかないで困ってる感じです。(それこそ自然の要求にしたいんですが、MUDがいるとなるとねぇ。です。)

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